アオ子のそそられ日記

匂い、あらすじ、見た目、あらゆるものにそそられて。

元映画館スタッフの映画のチラシのお話


そそりメNo.12 : 映画のチラシ



みなさんコレクションしているものってありますか?フィギュアやトレーディングカードや本やビーズや色々あると思いますが、わたしは映画のチラシを集めるのがすきです。
唯一コレクションしているのが映画のチラシです。

映画館のチラシタワーには、いつもものすごいそそられます。

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何枚あるかはわかりませんが、ファイル12冊分とまだファイリングしていない今年の4月以降公開作品分が手元にあります。
集め出したのは2009年の夏頃からなので、まだそんなに長い期間ではありません。出回っているチラシを全て収集しているわけではないので完全なものではないのですが、わたしにとって大事なコレクションです。



きっかけとしては、映画館で働き始めて映画チラシに触れる機会が増えたからです。

前回記事はこちら

そんな元映画館スタッフによる、わたしが思う映画のチラシのお話です。

 





映画チラシの役割と魅力


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映画のチラシの役割は、ひとえに公開される作品の宣伝です。表面にはポスター写真が、裏面にはストーリーや登場人物、出演者など作品の紹介が書いてあります。
映画館で流れるトレーラー(予告編)やテレビのスポットCMも大事な宣伝ですが、映画館に来た人が直接手に取ることのできるチラシは、時間を取らない効果的な宣伝手法です。

そしてその魅力は、ミニポスターに近い形で、作品の世界観がチラシ1枚で表現されているところです。
館内や雑誌などで使われる巨大ポスターと同じ画が使われることが多く、それを全く綺麗な状態で、自分好みのものだけを手に入れられることが最大の魅力だと思います。

複数集まってくると、公開していた作品ごとに「この映画が上映されていた時期はこんな時代だったな…」という時の流れを感じることができます。


上記写真の2枚のチラシは、本日公開された「スポットライト」と来週4/23に公開予定の「ズートピア」です。
スポットライトは、アカデミー賞で作品賞・脚本賞を受賞した映画です。日本ではアカデミー賞をきっかけに注目を浴び始めた作品だと思います。わたしもノミネートされたのをきっかけに本作を知りました。

ズートピアは制作発表された時から、ずっと楽しみにしていました。久々にディズニーがわたしの大好きなアニマル映画をやってくれるとのことで、日本での公開を首を長くして待ちわびていました。
ズートピアがチラシタワーに並び始めたとき、「ズートピアある!」と嬉しくなりました。 
どちらも絶対にスクリーンで見たいと思っています。

自分が見るものだけではなく、チラシは一通り貰ってきています。例えばホラー映画はポスター画から怖い作品もあるのですが、キャッチコピーが読みたかったり、映像は見るのが怖いけど紹介文で作品の内容知りたいな〜というのもあります。子供向け映画でも手元に残しておきたいなと思ってしまいます。

誰かと一緒に映画を見に行くときにも、上映終了後に100%「チラシ見に行っていい?」とお願いしています。
トレーラーが流れているときから「あ、この作品は絶対見る、チラシあるかな」などと考えているので、わたしにとってチラシはなくてはならない存在です。



チラシは映画公開前に手に入れること


映画館で映画を見終わったあとに、必ずチラシタワーに寄るようにしているのには理由があります。

なんと映画のチラシは、公開日を迎えるとチラシタワーから姿を消してしまうのです。

そのため「後で貰えばいいや!」なんて思ってると、気付いたら公開日を迎えてしまい、手に入らないことがあるかもしれないのです。

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これは嵐の二宮和也くんが主演した「プラチナデータ」という作品のチラシです。
公開が決定しチラシを置くと、瞬く間に数が減っていったのを記憶しています。(補充している人が「気づくとすぐ無くなる…」と言っていたのが印象的で覚えています)

プラチナデータのように例えばジャニーズの人気アイドル主演だったり、故マイケル・ジャクソンの追悼ドキュメンタリー映画「THIS IS IT」などの話題作だったり、ラブライブけいおん!などの人気アニメだったりすると、公開前からどんどんチラシが減っていきます。
そして公開後、ほぼ必ずお客様に「チラシありませんか?」と聞かれます。  

特にわたしはチケットカウンター配属だったのでお客様と接する機会が多かったのですが、やはり人気俳優やアイドルが主演だと、映画を見終わった後にチラシタワーに行ったものの見当たらず、カウンターに来る方が多かったです。

プラチナデータ公開初日には既に退職していたので、その様子は公開日前までしか分からないのですが、恐らく同作についても聞かれることが多かったのではないかと予測できます。


チラシは宣伝広告なので、既に公開している作品よりも、これから公開する作品向けに置いてあるものです。
チラシタワーのスペースにも限りがあります。更に公開予定作品は多数控えているので、わたしがいた映画館ではどんなに人気のある作品でも、公開したら配布用は撤去されていました。
場所によって公開後も置いているところもあるようですが、色々な映画館に足を運びましたが、シネコンはどこも同じように感じます。

とはいえ、公開が始まったから映画館から完全に無くなってしまうわけではなく、配布用だけ表舞台から去ります。
映画館内をよく見ると、now showingの掲示板だったり、スクリーン(映画鑑賞室)の扉横に「このスクリーンはこの映画を上映してますよー」と案内するために貼ってあったり、色々なところで活躍しています。

チケットカウンターでは「○○って作品はどんな映画?」と聞かれることも良くあるので、口で説明するよりも公式チラシを見て頂いた方が分かりやすいので、紹介用に最低1枚は作品ごとに確保しています。

そんなこともあり、映画公開後も在庫がバックヤードに残っていることは多々あります。残念ながら思いの外捌けてしまって本当に在庫切れのこともあります…。

なので「○○のチラシ残ってませんか?」と聞かれたら、余りがないかどうか極力探して、渡すことができればお渡しするようにしていました。(場所によっては公開した作品は渡さないと決めているところもあるかもしれません。)
人気作は予備分を確保していても、欲しい人がたくさんいて無くなってしまうことが多く、わたしもお断りせざるを得なかったケースが結構ありました。

以上の理由から、確実に欲しい映画のチラシは、ぜひ公開日前までにGetすることをオススメします。



映画チラシは進化する



映画のチラシは実は進化をします。
進化は大げさかもしれないですが、公開日が近付くにつれ、デザインが変わったり、文字が追加されることもあり、その違いを探すのもチラシ集めの楽しいところです。また作品情報も公開近くの方がより詳しく載っています。


例えば先日公開し「火星 ひとりぼっち」でも話題になった「オデッセイ」のチラシ。

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わたしが日付まで管理していなかったので、いつ手に入れたチラシかは不明なのですが、右の方が公開日が近づいてから配布されたチラシです。一番下の推奨検索ワードが「火星 ひとりぼっち」になっています。裏面には公開日がしっかりと記されています。
左は公開日確定前の状態で、文字が潰れて見えないかもしれませんが、検索ワードが「オデッセイ」のままになっています。裏面には明確な公開日が書かれておらず「2016年2月公開」とだけ記載されています。

更に4月22日公開予定の「レヴェナント」はレオナルド・ディカプリオアカデミー賞主演男優賞を受賞して、デザイン変更と共に文字が追加されました。

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このチラシ、2種ともに冷たく鬼気迫る映画の雰囲気がものすごい出ていて、お気に入りです。しかもレオ様にも見えない。レヴェナントについて詳しく知らなかったら、最初はレオ様だと気づかないかもしれません。

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昨年公開された「ピクセル」のチラシは、左右で公開日が変わっています。9月19日から1週間早まって9月12日に始まりました。
公開日が変わることはあまり珍しいことではないのですが、ピクセルの公開日が早まったことを知らず、チラシを眺めていて初めて気付いたのでわたしにとって記念チラシです。

ちなみに「スター・ウォーズ エピソード8」は全米公開予定が2017年5月26日でしたが、延期が発表され同年12月15日に公開となりました。
逆に「パイレーツ・オブ・カリビアン5」は全米公開が2017年7月7日予定のところ、同年5月26日に前倒しになりました。




終わりに


映画のチラシは裏側下方に基本的に劇場印が押されています。このチラシはどこの映画館から持ち帰ってきたのかが一目で分かります。「うちで上映するからきてね〜」という意味合いも込められているのではないか、とわたしは解釈しています。

そんな劇場印ですが、最初は空欄だったりして押されてないものもあります。
よりコアなチラシコレクターさんは、各劇場のチラシを集めたり、逆に印が押される前のチラシだけを集めている人もいるそうです。

わたしは拘りがあまりないのでそこまで気にしていないのですが、突き詰めれば突き詰めるほど、一枚の映画宣伝用の紙も奥深いですね。


ファイリングする上でなるべく公開日順に並べるようにはしているのですが、めんどくさくなることもしばしば。
ただ、たくさん集めてファイルが束になっているところや、ファイルを捲ったときにツヤツヤ綺麗な状態で過去の作品を眺めることができるのは、自己満足ではありますが、とても充実感があります。

この作品本当に良かったな〜と思い返してみたり、これ見たかったけどそういえば見に行けなかったな今度DVDで見なきゃ、と思い出してみたり。はたまたこの映画の初公開の日はめっちゃ忙しくて大変だったな〜という仕事の記憶も蘇ってきたりします。
この作品の頃の自分はこんな感じで仕事してたな、○○先輩がまだいたな、とか、どこどこの映画館で初めて見た作品だな、誰々と一緒に見たな、とかある種自分史を振り返るためのカレンダーのようでもあります。

映画のチラシのためだけに映画館を巡ることはあまりなく、映画を見に行った先で片っ端からチラシを頂いてきています。なのでコレクターと呼ぶにはおこがましいほど適当な集め方なのですが、そのペースが自分には合っているようです。



長々と語り尽してしまいましたが、映画チラシの魅力が少しでも伝わればいいなあと思います。

最後に、ここまでだいぶ分かりづらい写真で手持ちチラシの紹介をしましたが、実は映画チラシ専門ブログを運営されている方がいます。
自分で集めて手元においておくのが楽しいことではあるのですが、お目にかかれなかったチラシも世の中にはたくさんあります。
今回この記事を書くにあたって、たまたま見つけることができたのですが、表裏綺麗に紹介してくれているブログなので、とってもオススメです。
わたしも今後チェックしようと思います。



MOVIE & DESIGN 映画宣伝ツールのアートディレクション

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