アオ子のそそられ日記

匂い、あらすじ、見た目、あらゆるものにそそられて。

鑑賞:デジモンアドベンチャー tri.第2章「決意」

 
3月16日、新宿のバルト9にて
デジモンアドベンチャー tri.第2章「決意」
を鑑賞してきました。
第1章は12月に、同じくバルト9で観ています。(ブログオープン前のためレポートはありません)
前回と同じ友人と共に映画館へ。
 

 
まず第1章も踏まえての感想ですが、わたしは彼ら選ばれし子どもたちの成長がとても感慨深いです。
キービジュアルが発表された段階で、絵柄も違えば声だって違ったけれど、それはそれで、幼き彼らのデジタルワールドでの死闘の日々とはうまく切り離して考えることができます。
 
アニメ02のラストでは、既に彼らの更なる未来の姿が描かれています。
 
第1章の映画パンフレットでは、元永監督が
 
選ばれし子どもたちは小学生のときに、とてつもない冒険をやり遂げてしまったんですよね。そこから、彼らが何を考え何を掴んで『デジモンアドベンチャー02』の最終話にある、将来に向かっていったのかを描きたいと思いました。
と明言していて、今まさに彼らは高校生という青春真っ只中でありながらも、人生の過渡期に差し掛かり、成長にしたがって将来に向かって、あらゆる面でもがいているところなのだということが分かります。 
「選ばれし子どもたち」が、まさに「大人」に近づいていく様が、目に見えて痛いほどに描かれています。
 
02最終話の彼らの25年後の未来像としては、太一がデジタルワールドと現実世界を繋ぐ外交官だったり、丈がデジモンのお医者さんだったり、その他大人にも子どもにもパートナーデジモンがいて、その存在は世間的に認知され、共に生活しています。
 
triの世界は、02のベリアルヴァンデモンとの戦いから2年後のこと。まだデジモンの存在は未知なる生命体でしかなく、一般市民たちは突如として現れるデジモンたち(感染デジモンもパートナーデジモンも)を、悪なのか善なのかその見分けすらつきません。はっきりいえば命の危険があるマイナスな存在としてしか見えていません。
 
そんな世界から、どのように未来の世界へ導いていくのか。
彼らの成長と共に、わたしはそこに注目しています。
 
 
 
第1章の終わりは、アルファモンと戦うことで、太一の葛藤がクローズアップされて終了しました。
 
そこからの第2章。
(ここから先は本編に触れ、ネタバレを含みます。)  
 
※注意書※
セリフが書いてあることがありますが、意訳の嵐です。作品内の正式なセリフではなく「確かこんなこと言ってたな…」というニュアンスによる思い出しまとめ書きなので、ご容赦願います。
 
 
 
 
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ポスターのイメージ通り、今作は丈とミミの2人をメインに話が進みます。  
 
いろんな人の感想を読むと、賛否両論あるようです。まあそれも納得。思い入れがありすぎて色々突っ込みたくなるところと、公式設定はできるだけ引き継いで欲しいこと、続編ゆえの成長した子供たちの、空白の期間を埋めたい気持ち、あらゆるファン思想が交錯しています。
とりあえずスタッフ疲れてるのかな?って思うくらいに止め絵が多くて、素人のわたしが見てもこれはひどいなあと感じるものが多かったです。悲しい。
余韻が大事なEDでさえ、なぜか男子メンバーの写真1枚絵で終了です…。
まだ第1章のほうが良かった。制作期間短かったのかな、と残りのシリーズに関しても不安が残ります。
 
友人とも話しましたが、駆け足で6作一気に公開しなくていいから、ひとつひとつ丁寧に作り込んで欲しいね、と。
 
それでも、やっぱりデジモンは楽しい。
素直な感想を書きます。
 
まず今回のメインキャラ、丈に関しては、良い意味でも悪い意味でも彼が人間くさく成長してくれたことが素直に嬉しかったです。
「ああ丈よ、なんて真っ直ぐで誠実な高校生になってくれたのだろう」と、スクリーンを眺めながらしみじみ感じていました。
大人になったなあ…、と子どもを見て思う瞬間というのはこういう時なのかもしれません。
 
割とネットの感想では「その問題は昔解決したのに、なんでまたそこで立ち止まるの?!」という意見が多いですが、人間は何度だって同じ問題にぶつかり、同じように立ち止まり、同じことで頭を悩ませる生物です。
それは成長の過程で度々あることで、わたしも似たような経験があります。昔決意したことが、今さら揺らぐようなことだってあります。
 
彼が自らの意志で医者になろうと決めた後、本格的に医者になる道が開かれるかどうかの医学部受験の瀬戸際なら、あの真面目な丈にとっては大学受験こそ人生を左右する大事な時期に違いありません。
 
けれど受験を目前に成績は上がらず、勉強に励んでいます。
そこへ「選ばれし子どもたち」であるが故に感染デジモンとの問題に巻き込まれていきます。
 
なんで今、しかもこんなタイミングで感染デジモンなんていう厄介なやつが出てきてしまったのか。迫り来る将来に向かって、いま自分がこんなにも大変な時に。
自分だって戦わなければいけないことはわかっている。けれど社会に出るために、やらなきゃいけないことが、自分で立ち向かわなければいけない問題が山ほどあるのに。
受験に受からなければ医者になる道も開けないし、自分の代わりに試験を受けてもらうことだってできない。
 
でも「選ばれし子どもたち」は自分以外にもいるじゃないか。
 
雨の中、河川敷でのミミとの会話で涙を流しながら、丈は自分のことを卑怯な人間だと言います。
 
ゴマモンが戦いたいと思っていることも、戦うためには自分の力が必要なことも、それでも丈のために「勉強なんてしてないで、倒しに行こうよ!」と口に出したりせず、何も言わずに邪魔にならないように気を遣いながら丈のために寄り添っていてくれること。それを全て分かった上で、それでも尚、丈は自分のために戦わない選択をしていること。
 
この両者の気持ちが苦しいくらい伝わってくるので、丈とゴマモンのシーンはとても切なかったです。
 
卑怯でいいんです。人は、大人になることは、卑怯な自分を認めるところから始まります。まずは他の誰よりも自分の将来が、人生が、大事なのだから。自分がなりたい自分になるために「自己中心的」であるために、
そんな自分も分かった上で、他人の気持ちも推し量ること、応えようとすること、それこそが丈の「誠実さ」なのではないでしょうか。
 
丈の描写はやけにリアルです。これはきっと誰にでもある葛藤です。進路の選択を迫られる。入試や卒業といった締め切りが明確にあるがゆえに、なあなあにして誤魔化していくことができない、設定された目標をクリアするためにも将来のためにも目を背けることができない。頑張ってるのに成績は上がらない。
念願の再会を果たしたゴマモンに対してでさえ釣れない返事ばかりをしていて、ゴマモンを見ているこっちがどんどん切なくなってくる。ゴマモン健気だなあ…と。
 
そしてまた幼き日と同じ疑問が目の前に立ちはだかります。
自分が「選ばれし子ども」たる所以、「選ばれし子ども」でなければならない理由、ゴマモンのためにももっと相応しい人がいたはずなのに。なぜ自分なのか、丈は理由を求めます。
 
そんな彼が自分自身の事だけではなく、どうやってゴマモンと向き合って、どうやってこの問題を乗り越えるのか、映画鑑賞中ずっと気になっていました。同時に期待もしていました。
2人の口争いのシーンはとても良かったです。会話だけで見れば彼氏と彼女みたいな会話ですが、パートナーってそれだけ近しい存在で身近すぎるゆえに全部分かっているつもりでいて、本当は分かってないことも多くて。「ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ!」という。これ、わたしも思ったことあるなあ。
言わなくても分かることもあれば、言わないと分からないこともある。
 
 
 
結果的にヒカリが放った一言をキッカケに、ついに丈はゴマモンの元に駆けつけて、ピンチに陥っていたゴマモンは究極進化を遂げます。
 
ヒカリの一言、それは「理由なんて必要ない。ゴマモンが戦っているのだから、それが理由ではないのか?」といった言葉。(すみません、ちゃんとしたセリフを忘れました)
これまで死闘を共にくぐり抜けてきた最愛のパートナーが、進化さえできない状況の中で勝ち目のない敵に立ち向かい、あなたが来ることを信じて戦っているのだから、その信頼に応えることが理由ではないのか?それがあなたの誠実さではないのか?
わたしはヒカリの一言をこのように受け取りました。
 
駆けつけた丈の「待たせたね ゴマモン!」には泣きそうになりました。晴れやかな丈の声を久しぶりに聞きました。
 
ここでやっと丈のtir参入です。
おかえり丈!
 
 
 
そしてミミパート。
今回は丈に力を注ぎすぎたからなのか、ミミパートはあまり細かく描かれていなかったように思います。もっと他に表現の方法がある気もするんだけどなあ、と頭を捻らせています。(捻ったまま答えが出ないのは、わたしもまだ嚙み砕き途中だからです)
結構中途半端な書き方をしています、ご了承ください。 
 
ミミは純真な紋章をもつ選ばれし子どもです。
昔から変わらず、周りを明るく引っ張っていく天真爛漫なところは変わりありません。でも雰囲気は少し大人びました。
天真爛漫で真っ直ぐなミミ故に、今回は周りと衝突していまいます。
 
急きょ帰国して太一たちと同じ高校に転入してきたミミは、文化祭で積極的に実行委員になり、可愛い衣装を着てダンスを披露するカフェをやろうと提案します。お客さんも自分もハッピーになれるから、と一方的に決めていきます。
しかしながら他の生徒たちの反応は微妙、挙げ句の果てにデザイン案を見た時には「私たちこんな服着てやりたくないから」「あんた自己中だよ」と言われてしまいます。
 
しかもちょうどその直前には、あんなにミミに惚れ惚れしていた光子郎からも「ミミは自己中心的なところがある」と非難されていました。
 
感染したオーガモンが襲ってきたときに、世間に良いデジモンもいるのだと示したかったミミは、報道用ヘリコプターの前で、光子郎の待機命令を無視してパルモンと共に感染したオーガモンと戦います。戦うといってもオーガモンを倒すためではなく、元の世界に戻してあげることが目的でした。ミミにとっては、感染していてもオーガモンはオーガモンなのです。
けれどチクチクバンバンによってヘリコプターが墜落。ミミの行動が裏目に出てしまう形に…。(ちなみにオーガモンはレオモンに回収されます)
そこでの光子郎からの一言がけっこう辛辣です。
 
「良かれと思ってやった行動でも、結果はこの通り。ミミさんは自己中心的なところがあります。(良いデジモンがいると知らしめたい気持ちもは分かるが)今は慎重になるべき時期なんです。」
 
「自己中心的」という言葉が2度もミミを貫きます。
 
 
衣装の件で糾弾された日の、学校から帰る道すがら、ミミは河川敷にいる丈を見つけます。
丈は丈で悩んでいて、2人は川を見ながら心情を吐露します。
 
ミミの「自分が良いと思ったことはみんなにも良いことなんだって思ってしまう」という言葉に丈は「卑怯よりも自己中心的のほうがいい」と、ミミを肯定します(そして自分を否定してますが)
 
何よりも誰よりも、選ばれし子どもたちこそ、ミミの良いところを理解しているはず。ミミの行動力と周りをも明るくさせてくれるところ、そして人一倍他人の気持ちを考えられるところも。他の誰よりも、無印時代に戦うことやデジモンたちの死について真っ直ぐに向き合っていたのはミミです。いつだってミミは「自分のためだけ」に動いているわけではないのです。
 
でもそれは良く知っている仲だからこそ、あるいはわたしのように昔から見守ってきたからこそ分かり合えることであって、大して知りもしないクラスメイト達からしたらその真意は図れません。
さらにミミはこれまで成長期のほとんどをアメリカで生活していたので、日本とのギャップもあったようです。初めは意見を口にしないで、後になって文句を言うタイプが一番嫌いだと、まさにミミのクラスメイト達はそういうタイプだったので衝突してしまったのだと思います。
 
そんなミミに寄り添うのは芽心。
ミミとは正反対、内気でそれこそ自分の思いを口にするのがなかなか得意ではない芽心は、ミミのことを「すごい」と敬い、逆にミミのできないところを芽心が手伝ったり、敏感に気持ちを察することで、お互いを補います。
 
ちなみに光子郎の叱責は全部わかった上での事だと思います。だからこそ、色々あった後に顔を合わせた時も2人はケロッとしていたのかなと。
 
映画ではあまりミミの件に関しては描かれていませんでした。気づいたら解決して気づいたら終わってた、みたいな。
後で良く考えてみれば、彼女は自己中心的であることを否定されたけれど最終的には「これでいいのだ」と自分を受け入れています。
自己中心的なままでいい。
みんながみんなそれを良いとは思わないことだってある、それを理解したことでひとつランクアップしたのかな。
 
まだしっくり来てないので、考える余地がたくさんありますが…。 いつか見直してミミパートは特に整理したいと思います。
 
ただ、ミミもそのまま真っ直ぐ、綺麗に成長してくれていてうれしいです。まだまだ女の子だけど、きっと芯の通った女性になるはず。
パートナーのパルモンと、姉妹のように過ごしているところも、すごく好きなシーンです。
 
 
 
丈パートでも書きましたが、人間誰だって自己中心的です。自己犠牲の上で人生の選択をすることもあるとは思いますが、多くは皆、自分のために歩んでいます。
 
一足先に人生の分岐点を迎えた丈と、ちょうどその入り口に立ちつつあるミミと。
それぞれにそれぞれの壁があって、でもそれはわたし達の誰もがどこかで経験していること。
 
無印世代のわたしからしたら、通ってきた道をいま彼らが歩んでいることで、より親近感と一緒に成長している感がぐっと高まります。
 
ズドモンとリリモンの究極進化も感動しました。ロゼモンは妖艶でお色気ムンムンでビックリしました。
進化シーンは昔の方が好きなんだけど、皆さんどうなんでしょうか。卵に包まれて生まれるところと、背景が白でやけに明るくて、わたしはどちらかといえば無印時代のドラマチックにデータが降り注いで進化する方が、熱が上がる感じがしてすきなのです。卵も可愛くて好きなのですが、なんか間延び?してしまう感じがあって…。でもゴマモンが殻に入るところはすごくすごく可愛いので、一概に言えませんね。
 
いろいろモヤモヤするシーンもありますが、やっぱりわたしはデジモンが好きだし、続編をやって頂けてうれしいので最後まで見に行きたいと思います!
 
 
次回はタケルとパタモン、光子郎とテントモンが主軸になりそうです。
少し先ですが、その分じっくり作り込んでいただけることを祈って…!
 
 
デジモンアドベンチャー tri.第3章 「告白」
2016年9月24日 公開